江山菓匠ニノズコンフィチュール

【伊方の旬の果物を大人味の一瓶に】
江山菓匠ニノズコンフィチュール にのみやよりこさん、にのみやせいこさん

 
伊予灘を背景に並べたガラス瓶。伊方の恵みがぎゅっと詰まって、輝いていました。にのみやさんの愛情と手仕事が加わって。


                              

訪れたのは、愛媛県西宇和郡伊方町。佐田岬半島のメロディラインを超えてしばらくしたところにある旧瀬戸町。ここで、地域の人たちとドーナツをつくり、オリジナルのコンフィチュール(フランス語でジャムの意味)を手づくりしている、にのみやよりこさんと、せいこさん姉妹に、お話を伺いました。

  現在は東京に住みながら、東京と実家のある愛媛を行ったり来たりしている、にのみやさん姉妹。東京で勤めていた会社を退職し、地元で過ごしていた冬、家の中にある食べても食べても減らないいただき物のみかんを何とかしなければと、コルドンブルー ロンドン校でお菓子の勉強をしてきた妹のせいこさんの経験を活かして、コンフィチュールをつくることに。

「愛媛の旬の美味しさを、小さな瓶に甘く閉じ込めました」と語るせいこさん。伊方の柑橘はもちろん、旬の果物をふんだんに使っていて、現在では、一年を通じて、10種類を超えるラインナップが揃います。原材料の甘夏や伊予柑は自宅眼下に広がる畑の生産者から、キウイは保内の生産者など、顔の見える農家より仕入れています。


 そうした果物に、糖分を加えて、銅鍋で火を通し、リキュールやワイン、スパイスなどで味に深みを持たせているのが特徴です。保存料や着色料等人工添加物はいっさい使用していませんが、色鮮やか。甘さ控えめで、大人の味に仕上がっています。ワインのソムリエでもある、せいこさんは、ワインやチーズとの相性も良く、またヨーグルト等の乳製品にとてもよくあうコンフィチュールとして食べ方を提案してくれました。ゆず、じゃばら、ゆず&生姜は、今年3月英国で行われた「ワールド マーマレードアワード2017」で、Artisan(職人)部門で金賞を受賞。その品質に高い評価を得ています。

「レシピを教えてほしいとよく言われるのだけど、ないのですよ。その時の果物によって、甘みや酸味、果汁の量などが全然違うので、目の前の果物を味見しながら、私たちの味になるよう、いつも分量を決めています」と、分量をチェックしているよりこさんは教えてくれました。

 一度につくれる量は30本。限定生産ではありますが、現在は東京新橋にある愛媛のアンテナショップせとうち旬彩館や松山の愛媛観光物産館、東京のシニフィアンシニフィエというパン屋さんなどで取り扱われています。東京のデパート催事で直接販売した時は、500本が完売したそう。前職はこうした営業や商売とは無縁だったそうですが、「全然違う世界で、経験がない分、いつもわくわく、どきどきで、とても楽しい」とせいこさんは明るく語ります。12月にはラベルのデザインも一新しさらにパワーアップします。瓶の形やラベルのデザインに、こだわったことを教えていただきました。美味しさはそのままに、新たな顔となってデビューを待っています。


 
 
コンフィチュールのお話をひと通り伺った頃、「せとど~なっつ」をよりこさんが運んでくださいました。温められて、バターとラム酒の甘い香りが漂うドーナツは、素朴ながら何だか懐かしさを感じさせる味わいです。
 
 
この「せとど~なっつ」の生みの親は、にのみやさんのお母様。お父様の書道塾の生徒さんに、振舞っていたそうです。20年前にご主人が亡くなった後はつくることがなくなってしまいましたが、大人になった生徒たちの、「また、おばちゃんのドーナツが食べたい」という声に背中を押され、空き家を加工所にして、近所の人たちとドーナツづくりを始めました。ドーナツのレシピは、50年ほど前に愛媛新聞に掲載されていた「アメリカの家庭のお菓子」という記事をもとに、お母様がアレンジしたというもの。子どもたちにつくっていた当時と比べて、マーガリンがバターになり、梅酒がラム酒に変わり、揚げ油がこだわりのこめ油になったりと今風にバージョンアップしています。

 

道の駅などで販売し、今年で9年目。9月に行われた「えひめ国体」で伊方町のおもてなしとして成年女子バレー会場で来場者に配られるなど、地域の名物となっています。今やつくり手の平均年齢も75歳となりましたが、一人暮らしのお年寄りが集まる機会にもなり、生きがいにもつながっているそうです。「あと10年後はどうなっているか……。若い人が働いてくれるといいのだけれど」と、お母様をサポートするにのみやさん姉妹の心配は尽きませんが、それでも、みんなが楽しめるペースで、元気にドーナツづくりを続けています。

にのみやさん姉妹のコンフィチュールやドーナツづくりの根底に流れているのは、地元を活性化したい、地域に貢献したいという想い。1119日のお城下マルシェには、はるばる伊方町から、甘夏、河内晩柑、ブルーベリー、キウイ等のコンフィチュールと「せとど~なっつ」を携えて出店予定です。伊方町の魅力や、ワインに合う食べ方やドリンクにするいただき方など、コンフィチュールの美味しいアイデアも教えていただけるので、ぜひ、ブースでお話を伺ってみてください。


 
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