電子食品流通研究所

【電子技法で食を彩る】
電子食品流通研究所 樋口剛志さん

電子技法という栽培方法を知っていますか? 電子技法とは炭と水と空気といった自然物を活用して土を健康にし、光合成の働きを高めて栽培する方法です。全国各地でこの農法を取り入れている作り手がいますが、発祥は砥部町なのだそう。1976年に設立され、電子技法を実践し、同じ栽培方法による食品の販売を続けてきた電子食品流通研究所の2代目となる樋口剛志さんにお話をお伺いしました。


〇自然のなかで、自然の資源を活かした農業
電子食品流通研究所は松山から車で30分ほどの伊予郡砥部町川井というところにあります。山に囲まれた自然豊かなところで、夏は蛍がたくさん飛び、夜は星がとっても近くに見えるそうです。取材をした日はとてもきれいな夕日を見ることができました。


まず見せていただいたのは2週間前にあきたこまちの収穫を終えた田んぼです。田んぼには稲藁が敷かれていました。廃棄するのではなく土に還すことで循環させている、ここにも樋口さんのこだわりを感じました。

電子食品流通研究所の田んぼ、畑には冒頭で述べた通り、炭が埋められています。これによって微生物の活動を活性化させ、土を健康にしていき、農薬や化学肥料を使わない栽培を可能にしています。
「電子技法」によって作られた作物は、根の状態が良くなり、病害虫の発生も少なく、栄養価の高い美味しいものが育ちます。酒、味噌、醤油といった発酵食品の製造過程にも電子技法を用いているところがあり、栄養価がアップするだけでなく、口当たりの良い、まろやかな味のする発酵食品となるそうです。
 
〇食で豊かな生活を創る
「これからの日本を考えたとき、子ども達のためにも私たちが元気でいないといけない。そのために食を変えるのは大切なこと。僕はそのきっかけを与えられる人になりたいんです。」半年前に家を継ぐために東京から帰郷した樋口さん。東京時代にご自身が大病を患い、食べるものを見直した経験から食の大切さを実感し、1人でも多くの人がこの食品の良さを知って、健やかで豊かな人生を送れるよう、日々の仕事に向き合っています。電子技法は昔ながらの農法ではありますが、古くから取引が続くレストランや新しいバイヤーとの出会い、お客さんとの交流を通して、その品質の高さを認めてもらえていることを感じるそうです。それでもやはり価格などの問題で敬遠されることもあります。樋口さんは「表現方法を工夫して、今の人達に分かりやすく伝えたい」と語るように、作り手の想いやこだわりも一緒に発信することで手に取ってもらえるよう取り組んでいます。


農業といえば儲からないし休みもないし大変、とか泥臭いイメージを持つ方もいると思います。しかし私は農業の固定概念を変えたいという樋口さんのお話を聞いて、農業は自然の中で、自然と共存しながら営むからこその楽しさややりがいがあるんじゃないかなと感じました。樋口さんの食、農業に対する想いはそのくらいまっすぐで誠実に感じました。

11月は新米のあきたこまちや電子技法で作られた農産物、加工品が出品予定です。みなさんもぜひ商品を手に取って、樋口さんの想いに触れてみてください。きっと自身の食を見直すきっかけになると思います。


電子食品流通研究所▽

(文責/幸田)

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