鈴木農園すーやん

【やまじ風にも負けない里芋】
鈴木農園すーやん 鈴木敏也さん、綾子さん




今回は四国中央市土居町で里芋(伊予美人、愛媛農試V2号)を中心に、さつま芋(紅はるか)や水稲など様々な野菜を栽培している「鈴木農園すーやん」の鈴木敏也さんと綾子さんにお話を伺いました。四国中央市における里芋の栽培の歴史は古く、文献によると江戸時代初期から、すでに商品作物であったとされています。なぜ四国中央市では里芋の栽培が盛んなのでしょうか。四国中央市は日本三大局地風とも呼ばれる「やまじ風」が吹く地域の1つ。そのため葉物野菜や果実は風に負けてしまっていました。しかし里芋のような根菜類は土の中で育つので、やまじ風の影響も受けず、大きくなるため、この地に定着したそうです。お話を聞かせていただいた日は曇っており、肌寒く山もうっすら雪をかぶっていましたが、風はなく穏やかな天気でした。



鈴木農園すーやんのある四国中央市土居町では、里芋のことを「田芋」とも呼ぶそうです。里芋と田んぼの愛称はよく、同じ土地で里芋と水稲を交互に作ることから田芋と呼ばれているそうです。鈴木農園すーやんでは先人の知恵を活かして同じ土地で里芋と水稲を交互に栽培しています。

敏也さんが実家の農家を継いだのは8年前。それまでは大阪で敏也さんはサラリーマン、綾子さんは保育士の仕事をされていました。就農してから、百姓百品目ともいわれるように、たくさんの野菜の栽培に挑戦してきましたが、土居町の気候や地質に一番合っていたのはやはり里芋と水稲とさつまいもだったそうです。今では春に里芋の種芋を植えて、秋に収穫し、冬場に県内のマルシェや産直市に出荷しています。

お二人に農業の楽しさを聞いてみました。お二人にとっては、自分の名前の付いた野菜を売ることができること、マルシェや産直市をとおして消費者の方と交流できることだそうです。しかし、農業は病気や天候にも左右されます。農家としての責任もあります。しかしそれでも楽しんで農業をすること、それが結果的にすべてうまくいく秘訣なのだそうです。


里芋について、「里芋は皮むきが大変」、「煮物しかできない」と思っていませんか?里芋は煮物だけではなく、いろんな調理のバリエーションを楽しむことができます。さらに里芋は1つの種芋から中心に親芋ができ、そのまわりに子芋、さらに孫芋とたくさんの芋が収穫できます。その子芋と孫芋にもそれぞれおすすめの調理方法があり、子芋は焼き物、孫芋は煮物向きなのだそうです。

ほかにも里芋が苦手な子どもや、普段なかなか里芋を購入する機会のない若い人にも里芋の魅力をもっと知ってもらえるよう、新しい里芋の食べ方の提案を行っています。詳しくはお城下マルシェで、綾子さんに直接聞いてみてください。私もそれまで煮物以外の調理法を知らなかったのですが、綾子さんに教えていただいた、子芋をスライスしてオリーブオイルで焼いて塩を振って食べる方法を試してみるとびっくりするほどのおいしさでした。



お二人の今後の目標は、「野菜を周年的に出荷できるようになること」、「野菜を信用で買ってもらえるようになること」です。消費者にご自身のこと、鈴木農園すーやんの野菜を知ってもらってから買ってもらえる方がモチベーションにつながります。お客さんとの交流や結びつきを大切にされている鈴木農園すーやん。その想いはまるで里芋の中心に当たる親芋のようだなと思いました。



今回のお城下マルシェ 花園では、里芋とさつま芋の量り売り、焼き芋、防災というテーマに合わせて干し芋などを販売していただきます。今年は夏の雨の影響も少なかったのでよく育っているそうです。ぜひ手に取ってみてください。さらにさすが大阪で暮らされていたこともあり、お二人のお話もまるで夫婦漫才を見ているのではと思うほど面白いです。お楽しみに!


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