とぉから

【音楽と食とアートが詰まった、三津のアジトへ】
とぉから 池田大樹さん



伊予鉄道三津浜駅に降り立ち、商店街の入り口左手の餃子屋さんの建物の階段を上がったその先に、タコス屋「とぉから」はあります。3階のため、なかなか分かりにくい場所ですが、宮前川や駅を見渡すことができ、歩く時とは違う商店街の風景も見ることができる隠れ家的なお店です。

 


このお店はメキシコ料理店というよりも、タコス屋「タケリーヤ」(タコスの店を意味するメキシコの言葉)と、店主の池田大樹さんが教えてくれました。タコスは、トルティーヤという皮に具材を載せて巻くなどして食べるもの。このトルティーヤは小麦粉でつくられることが多い中、「とぉから」では、本格的にマサ粉(トウモロコシの粉)でつくっており、本場の味が楽しめます。具材は、タコミート、チキン、ビーフ、チョリソ&ポテトの4種が基本で、地元の釣り師の方と1年ほど構想を練ったという限定のローカルフィッシュメニューもできたそうです。こうしたメニューは池田さんの奥様が考案しています。

 なぜ、タコス屋なのか――。それは、珍しさもありますが、池田さんの表現ともつながっています。池田さんは、三津浜出身のバンドマン。東京で音楽活動を続け、全国ライブも行ってきました。その活動には、音楽のジャンルにもなっている中南米の「メスティーソ(mestizo)」といわれる混血の文化への深い想いが流れています。タコスは中南米でのソウルフードとも言える食べもの。それを、主に地域の食材とでつくっています。


 東京で15年ほど音楽活動をしていた池田さんでしたが、「自分の生活を変えたいと思うだけではなく、行動したい。そして周りも変えたい」と思うようになり、その地として選んだのは故郷である三津浜でした。東京には著名な人が大勢いるかもしれません。でも、「本当にカッコいい人は田舎にいる」と語る池田さん。自身がそれを実現させようとしているようにも見えました。


2016年に「とぉから」をオープン。「三津に帰ってきて、これからやるよ!」という旗印を立てるとともに、新たな人間関係を築く場であり、自分たちが食べていく場でもあります。店内の壁のペイントなど、内装はすべて自分たちの手で。そこに、楽器やDJブースが置かれ、アートが飾られています。そうしてつくりあげた空間を、池田さんは「アジト」と呼びます。「入り口の看板を見ても分かる通り、ここにはいろんな思想が詰まっていて、それを視覚、音楽、食で伝える場所かな。でも、ビジネスを最優先としていない。それを分かってくれる人が分かってくれれば」(池田さん)。
 

 



ここでは、フードやドリンクを楽しむ他、奥様の手づくり雑貨が販売されていたり、ライブやイベントも開催されています。120日は、落語会が開かれるそうですが、こうしたイベントスペースとしてのご利用の相談にも応じていただけるそうです。

 


また、「自分たちがどういう社会で生きているのか、勉強する必要がある」と、世の中の仕組みについて疑問を持ち、理解する大切さを説く池田さん。「それは、日々の小さなことから大きなことまで」と続きます。それを「人間力」とも話していましたが、インタビュー中に何度も出てきた「人間回帰」という言葉にもつながるものでした。

 



そんな池田さんの想いが込められたタコス屋ですが、実はランチも美味しいと聞き、ランチメニューをお願いしてみました。その日の食材でメニューが決まるそうですが、スパイスが効いたコロッケやチキンはおつまみにもピッタリです。野菜の歯ごたえを感じるピクルス、スープはニンジンがたっぷりで、野菜もしっかり食べられます。ご飯は土鍋で炊かれていて、ごはん粒がふっくらつやつやです。そして、その後、包み揚げタコスも追加することに。




お城下マルシェでは、この包み揚げタコス、おつまみフード、手づくりシロップジュース・カクテルなどがいただける予定ですので、ぜひ、ブースにお立ち寄りください。

とぉから
住所:松山市住吉1-4-18 住吉すずビル3F
営業時間:12: 0015: 00L.O. 14: 30)、18: 0023: 30L.O. 23: 00
定休日:月曜日

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